とても魅力あふれる作品で、「どういうステージにするかな?」とイメージを膨らませながら原作小説やアニメに触れて行ったのですが、とにかく設定が秀逸でした。ゲーム内での死が現実の死につながるシリアスな状況のなかキリトとアスナの関係が築かれていくアインクラッド編の物語の要素を、ステージで出来得る限りのギミックを駆使して描くことで、それらが上手くリンクしたらきっと面白くなるんじゃないかなと思いました。
アニメや小説という媒体では、本当にその世界にダイブすることはできないけど、劇場で「生」で上演することで一緒の空間にいる感じを作ることができるし、今回「–DIVE TO STAGE-」とあるように『SAO』の世界にお客さんもダイブしてもらえればなと思って構想を練りました。
実際に自分が観ていたアニメの声が流れて、それに対して舞台キャストがいるってことがまずはすごく不思議な感じがしました。この「不思議」はすごくいい意味で捉えていて、声優さんの声があることでアニメを観ていたときのことがダイレクトに思い出されるし、それと共にリアルな存在としてのキリトなり、アスナがそこにいる。それが「–DIVE TO STAGE-」の醍醐味になるのではないでしょうか。また、キャストが声を発しないということには、様々な可能性が秘められていますね。これは脚本を書いている時点から思っていたことで、たとえば、普段はセリフを言いながらお芝居をするわけですが、そこが声優さんのセリフになることで様々なパフォーマンスやステージ表現を加える余地が生まれます。こうした試みは私自身も初めての体験でもあり、挑戦でもありますね。
『ソードアート・オンライン –DIVE TO STAGE-』は、アニメの世界を劇場で体感できる新しいライブエンターテインメントです。
普段、舞台をご覧にならない方でも『SAO』ファンならきっと楽しんでいただけるものになってますし、舞台や演劇が好きな方にも「こういう表現があるんだ!」と新鮮さを感じてもらえるものになっていますので、ご期待ください!
児玉明子 Akiko Kodama
東京都出身。慶應大学法学部政治学科卒業。
大学在学時より宝塚歌劇団に嘱託採用され、座付きの脚本・演出として在団。
2009年には、一年間、文化庁の新進芸術家海外研修制度にて、カナダのケベック州・モントリオールへ演劇留学し、世界的に著名な演出家、ロベール・ルパージュなどの稽古場で研修。
帰国後、宝塚歌劇団を退団し、美内すずえ×ガラスの仮面劇場「女海賊ビアンカ」、ライブ・スペクタクル 「NARUTO-ナルト-」シリーズ、舞台「デルフィニア戦記」シリーズ、少女文學演劇「雨の塔」、「王妃の帰還」の脚本・演出、少女☆歌劇 レヴュースタァライト−The LIVE−シリーズ、ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-、ミュージカル『アメリ』、「ELF The Musical」などの演出を手がける。